泌尿器科
当科では泌尿器科疾患全般を取り扱っています。特に尿路結石症については年間150例以上の外科的治療の実績があります。
良性疾患では前立腺肥大症の経尿道的切除術、尿路性器悪性腫瘍については診断を行うとともに表在性膀胱癌に対する経尿道的切除術や上部尿路腫瘍に対する腹腔鏡下摘除術を行っています。
癌の開放手術や放射線療法が必要な患者さまは近隣の基幹病院と連携し遅滞なく治療を受けていただけるようにしています。
専門医制度と連携したデータベース事業について
当科は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。
この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。
本事業の詳細については以下をご覧下さい。
関連リンク
尿路結石症
1.体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
レントゲンで結石に焦点を決め体外から衝撃波を打ち込むことによって体内で結石を破砕する方法です。5~15mmの比較的もろい結石が対象となります。当院では2020年4月に結石破砕装置をドルニエ・メドテック社 コンパクトシグマ に更新しました。
原則として初回治療の方は2日間の入院で治療を行っています。外来ESWLは入院治療後の残石を対象としています。
2.内視鏡下結石除去術
膀胱・尿管・腎臓に内視鏡を挿入し結石を直接破砕・除去する方法です。腎・尿管結石に対しては尿道を経由して結石に到達する方法(TUL)と背中から腎臓に直接内視鏡を差し入れて結石に到達する方法(PNL)があります。
TULでは通常の硬性内視鏡を用いた手術(r-TUL)では到達できなかった腎・上部尿管結石に対して軟性内視鏡を用いてレーザーで破砕する手術(f-TUL)を行います。入院期間は約5日間です。
軟性内視鏡
硬性内視鏡を用いた手術
PNL
PNLは腎臓の巨大な結石やサンゴ状結石に対して行っています。
入院中にできる限り結石をすべて摘出することを目標にしていますので入院期間は約2~3週間と長めになることがあります。
膀胱癌
1.経尿道的膀胱腫瘍切除術
表在性膀胱癌に対し内視鏡下に切除を行います。入院期間は約6日間です。
2.BCG膀胱内注入療法
上皮内癌や表在性膀胱癌のうち悪性度の高い腫瘍に対して膀胱温存することを目的にBCG膀胱内注入療法を行っています。
なお筋層以上に浸潤した膀胱癌や上記治療に抵抗性を示す膀胱癌に対する膀胱全摘術は原則として地域医療連携課を通じて基幹病院に紹介させていただきます。
前立腺疾患
1.前立腺肥大症
薬物療法では効果の乏しい患者さまに対して内視鏡下に切除する手術(経尿道的前立腺切除術)を行っています。入院期間は約8日間です。
また種々の合併症のため切除術ができない患者さまには、前立腺部尿道にステントを留置して尿道を広げる手術を行っています。
2.前立腺生検
主にPSA高値の患者さまに対して経直腸的に8~10カ所生検を行っています。当院では検査後の出血や発熱に迅速に対応できるように1泊2日の入院をお願いしています。
3.前立腺癌
生検で癌を認めたときはCT、骨シンチ等画像検査で進行度(病期)を診断します。内分泌療法(ホルモン療法)や抗がん剤治療は当院で行います。他臓器に転移のない限局性前立腺癌で根治療法(手術用ロボットを用いた前立腺全摘術や放射線療法)の適応であれば地域医療連携課を通じて基幹病院に紹介させていただきます。
診療実績(1月~12月)
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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体外衝撃波結石破砕術(ESWL) | のべ39例 | のべ32例 | のべ34例 |
経尿道的上部尿路結石除去術(TUL) r-TUL(硬性鏡での手術) f-TUL(軟性鏡での手術) |
128例 26例 102例 |
122例 27例 95例 |
129例 29例 100例 |
経皮的尿路結石除去術(PNL) | 20例 | 4例 | 7例 |
経尿道的膀胱砕石術 | 22例 | 27例 | 27例 |
経尿道的膀胱腫瘍切除術 | 86例 | 65例 | 60例 |
経尿道的前立腺切除術 | 19例 | 11例 | 12例 |
前立腺生検 | 60例 | 56例 | 72例 |
腹腔鏡下腎(尿管)摘除術 | 6例 | 10例 | 4例 |
当院の特徴として尿路結石の外科的治療件数が多いことが挙げられます。
10mm以上の尿路結石は無症状であっても手術適応となることが多く、患者さまの全身状態を考慮しつつ積極的に手術を行っております。
また表在性膀胱癌・前立腺肥大症の内視鏡的手術や上部尿路癌の腹腔鏡下手術を行っておりますので、顕微鏡的血尿が悪化していく、あるいは肉眼的血尿を自覚した患者さまや、薬物療法では効果の乏しい排尿障害の患者さまをご紹介いただければ適切に対応させていただきます。
また治療後に病状の安定した患者さまを逆紹介させていただくことで、今後とも病診連携、病病連携に積極的に取り組んでいく所存です。
スタッフ紹介
氏名 | 役職 | 所属学会・資格など |
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山中 邦人 | 副院長 泌尿器科部長 |
医学博士 日本泌尿器科学会(専門医・指導医) 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会(泌尿器腹腔鏡技術認定医) |
大西 篤史 | 副医長 |
医学博士 日本泌尿器科学会(専門医) 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 日本生殖医学会 日本アンドロロジー学会 |
神野 琢磨 | 副医長 |
日本泌尿器科学会 緩和ケア研修会 修了 |
外来担当一覧表
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
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1診/予約診 | 山中(※) | - | 神野 | 山中(※) | 大西 |
2診/予約診 | 交代制 | - | 交代制 | 交代制 | 交代制 |
(※)開業医等からの紹介患者様を中心に診療を行っております。